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コラム
コラム : 12月議会一般質問全文
投稿日時: 2012-12-07



H24年12月議会一般質問  

通告に従い、順次、伺って参ります。まず最初の質問は、「公共施設及びインフラの維持・更新に関する長期財政支出見通しについて」であります。


これまでも各種インフラの老朽化問題については、本県議会でも、橋梁や県立学校校舎等の老朽化を中心に、何度も取り上げられてきたところです。そんな中、今月2日には、中央自動車道笹子トンネルで、大規模な天井崩落による大惨事が発生してしまい、老朽化が進む社会インフラへの適切な対処の重要性が、改めて大きな議論をよんでいます。今回の事故の詳細な原因究明はこれからですが、現時点での報道によれば「開通後35年経過したことによる経年劣化が、主要因の可能性が高い」とのことです。言うまでも無いことですが、今回のような大惨事を2度と起こすことなく、住民の命を守るために、公共施設及びインフラの老朽化の実態を正確に把握した上で、優先順位を明確にした維持・更新に取り組むことが、今、国や地方自治体には求められています。

しかし、そのような現状であるにも拘らず、現在の国・地方の財政状況は大変厳しい状態にあり、どの地方自治体にあっても投資的経費をはじめ歳出の削減等を進めるなど、財政の健全化の確保に苦労している状況です。地方自治体が健全な財政運営を行っていくためにも、今後、公共施設やインフラ資産に係る更新費用がどの程度になるかを推計し、把握した上で、公共施設及びインフラ資産のあり方について検討していくことは、極めて重要であると私は認識しています。そういった認識のもとで、今回の質問では、長期にわたる財政支出見通し策定の必要性や、そのための方策について論じながら、迫りくる、まさに待ったなしの社会資本老朽化問題を取り上げて参ります。

この問題への本県の取り組み状況を伺う前に、まず国や他の自治体の進捗状況を申し上げます。

初めに総務省の動きについて、簡単にご報告致します。総務省は、全国111市区町村の協力を得て行った、将来のインフラ更新費の調査結果を、本年4月に公表しました。この調査は、財団法人自治総合センターが昨年3月に示した「地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書」の考え方をもとに行われ、調査対象としては、2009年度までに建設・整備された50平方メートル以上の学校、庁舎、公営住宅等の公共建築物ならびに道路・橋梁・上下水道などのインフラ資産であり、河川、港湾等は含まれていません。詳細な調査方法の説明は省略致しますが、概ね今後40年間を視野に入れて試算した、将来必要になるであろう公共施設やインフラの1年あたりの更新費用と、現在の年平均費用とを比較したものです。それによれば、将来の更新費用は、現在の2.6倍にもなり、新規の建設投資をストップし、用地取得額や新規整備費を全て既存施設の更新に充ててもなお、費用が足りなくなるとしています。つまり、新設どころか、一部の社会資本は、利用をあきらめざるを得なくなるということです。

同様に国土交通省でも、独自の試算が行われています。2011年度の国土交通白書によれば、国土交通省所管の道路、港湾、空港、公営住宅、下水道、公園、治水、海岸等の社会資本8分野の国および地方自治体の事業を対象に、2009年度までの投資実績をもとに推計したところ、その更新費用は、2060年度までの50年間で190兆円にも達すると試算しています。社会資本の長寿化対策などを適切にとらなければ、2037年度には維持管理・更新費すら賄えなくなる可能性があり、新規事業に回す財源がゼロになるとも指摘しています。

この他にも、東洋大学の根本祐二教授の試算によれば、国交省所管以外の公共インフラ、たとえば学校や病院、図書館、上水道などの公共施設も加えると、更新費用は、総額330兆円にものぼるとの指摘もされていますので、併せてご紹介しておきます。

次に、社会資本老朽化問題に対する先進的な取り組み自治体のひとつである大阪府の例を、簡単に述べさせて頂きます。

ご存じの通り、大阪府は、ある意味では本県以上に厳しい財政状況の中で、大都市間の国際競争に打ち勝つためのインフラ整備を進めるとともに、老朽化した既存インフラの更新も視野に入れなければならない状況にあります。そんな中、本年3月、おおむね30年先を見通しながら、当面10年間のインフラ政策の方向性を示す「都市整備中期計画」をまとめました。その狙いは、「建設事業を見直すとともに、維持管理の重点化を図るなど、建設と維持管理のトータル・マネジメントを行うため」とのことです。大阪府の試算によると、2011年度から2030年度の20年間で橋梁などのインフラに予防保全策を講じれば、維持管理費は5100億円に収まりますが、保全策を講じずに更新していけば、8400億円も必要になり、差し引き3300億円もの財政縮減効果があるとのことです。この試算結果を財政課に示したところ、財政課も納得し、維持管理費の大幅増額が認められたとのことです。この事例は、大阪府の土木建設関係のものですが、やはり現状を把握した上で、将来予測を立てることは大変に重要ですし、何と言っても具体的な数字をつかむことの意義や必要性が非常に良くわかる事例であると言えます。

それでは、現状の本県の取り組み状況について、確認させていただきます。まず、2010年度から、総務部が中心となって第5次行革大綱の取り組みの一つとして、「県有施設を戦略的に利用・管理・保全する仕組みの構築」というテーマで、県有施設全体の現状を調査し、その結果を踏まえた県有施設の利用の最適化、計画的な保全管理などの仕組み構築に取り組んでこられたところです。そして、本年2月に策定された「県有施設利活用・保守管理プログラム」によれば、現在は中・長期的な施設の利活用の方向性や中・長期的な利用に必要な保守等の概要、そして財政上の影響を試算する財政計画などに取り組んでおられると承知しています。

一方、総務部の取り組みとは別に建設部においても、建設部所管の公共施設・インフラについて、それぞれ10年間から50年間ほどを見通した長寿命化計画を現在策定中であると伺っています。

ここで、改めて申すまでも無いことですが、本県の財政状況は、リーマンショック以降5000億円もの減収に見舞われ、その後も円高、デフレ、大震災などの影響もあり、依然として厳しい財政状況下にあります。しかし、世界と戦える地域を創って行くためには、港湾、空港や、それらへのアクセス道路の充実をはじめとする各種インフラ整備への投資を、着実かつ早急に進めていかなくてはなりませんし、発生が危惧される大地震への備えも怠るわけには参りません。つまり、これからも必要な新規投資は当然ゼロではないのですから、徹底した選択と集中が不可欠です。

そのためにもまず、私は、様々な社会資本整備を始めてから半世紀近くになろうとする今こそ、30年先から50年先を見据え、本県が管理する公共施設およびインフラの維持・更新に関する財政支出見通しの策定に少しでも早く着手すべきと考えます。勿論、その試算は建設部関係の施設のみならず、教育委員会所管の県立学校をはじめとする全部局が管理する公共施設、また病院事業庁所管の県立病院や企業庁所管の上水道など、全ての施設・インフラを網羅した見通しであるべきです。そして、その試算結果を県議会や県内市町村、県民に公表することにより、問題意識・危機意識を共有化することが不可欠だと考えています。 繰り返しますが、何をおいても客観的に現状把握をして、まず具体的な数字をつかむことが、極めて大切です。具体的な行動に移すには、スケジュールと規模感が必要ですし、全く数字を示さずに漠然と「老朽化が大変だ、大変だ」と騒いでいてもリアリティーが無く、何も進みません。さらに、数字を示すことで様々な抵抗も抑えやすくなるはずですし、県民にとっても県議会にとっても、今ある県有施設を全て維持すべきなのか、また本当に維持できるのか、などという問題に直面することで、現実味のある危機意識が生まれるはずです。これまで経験したことの無い少子高齢化社会、低成長社会における公共施設のあり方や民間活力の活かし方について、県民を巻き込んで率直に議論していくことが必要な時代に、既に入っているのですから、もう先送りするわけにはいかないのです。

そこで、伺います。まず、1点目の質問ですが、社会資本老朽化問題に関する本県のこれまでの取り組み状況を改めてお示しください。

2点目の質問です。私が申し上げてきた公共施設及びインフラに関する長期財政支出見通しの必要性について、本県のお考えをお聞かせ下さい。また、長期見通しの策定は、数か月という短期間では到底不可能ですので、具体的な全体スケジュールの策定や総務部を中心とする全庁的な組織体制の整備・充実も欠かせないと考えますが、いかがお考えでしょうか?併せてお答えください。

続いて、「広域防災拠点整備のあり方について」伺って参ります。

本年10月3日の朝刊各紙に、中部圏への基幹的広域防災拠点整備候補地として、名古屋市三の丸地区、県営名古屋空港、名古屋港、静岡県庁、静岡空港の5か所が掲載されました。この案は、5県の自治体、民間団体など109機関と有識者で構成される、東海・東南海・南海地震対策中部圏戦略会議の中に、本年5月に設置された検討会によって示されたものです。ちなみに、この検討会は、学識経験者7名と14の行政機関等で構成されておりますが、自治体としては愛知、岐阜、長野、三重、静岡の5県と名古屋、静岡、浜松の3政令市が構成メンバーとなっています。

そしてその後、11月5日には、これらの5か所が、中部圏地震防災基本戦略の中で正式承認され、当日行われた防災担当大臣と大村知事との会談においても、大臣から「地元の要望を尊重し、来年3月までには国として決定したい」との発言がありました。今後、中部圏戦略会議では、5か所の基幹的広域防災拠点候補地については、早急に検討会議メンバーを固め、今年度末を目途に、例えば倉庫や通信設備等、具体的で詳細な整備内容の詰めを行うとしています。また、広域防災拠点整備については、新たに各県ごとに検討会議を設置し、今月中にも第1回会議を開催し、今年度中には整備場所を選定する方針とのことです。

その広域防災拠点整備計画ですが、現状案では愛知、岐阜、三重、静岡、長野の各県に、広域防災拠点を22か所配置し、それぞれをネットワーク化することで、災害発生直後の迅速、円滑な対応を目指すとしています。私は、今回示された基幹的広域防災拠点整備エリアからは大きく外れた豊橋市選出ですので、今後、豊橋・東三河地域はもとより、年々連携を深め、数年内の広域連合発足も視野に入れている三遠南信地域に、広域防災拠点がどのように整備されるのかという点についても、大いに関心を持っています。

そこで、今回の質問では、これから議論が本格化し、今年度中には候補地案が決定される予定の広域防災拠点整備のあり方について、伺って参ります。

具体的質問に入る前に、東日本大震災発生を機に変化した広域防災拠点整備に関する基本的考え方について、触れさせて頂きます。これまで国は、内陸直下型の大規模地震である阪神・淡路大震災を教訓に、都市部の市街地大火災や交通インフラの寸断などの甚大な被害を想定して、首都圏、関西圏の臨海部の埋め立て地に基幹的広域防災拠点を整備してきました。しかし、東日本大震災で明らかになったのは、海溝型巨大地震が発生した場合には、臨海埋め立て地に立地する基幹的広域防災拠点は、津波などにより、十分な機能を果たすことができなくなる可能性が高いということです。このことから、基幹的広域防災拠点及び広域防災拠点の整備は、臨海部での一か所集中型ではなく、内陸部を含めた複数地区で相互に補完しあう分散配置が望ましいとの考えに変わってきています。

この変化に影響を与えたのが、東日本大震災において大変有効に機能したと評価されている岩手県遠野市の広域防災拠点です。先日岩手県に伺い、実際にどのように機能したのか、また広域防災拠点整備のあり方などについて、調査を行ってきましたので、若干、ご報告をさせていただきます。

遠野市の広域防災拠点は、津波等で沿岸部が被災した際の後方支援拠点との位置付けで、岩手県防災局長OBである現遠野市長により、2007年に整備されました。県庁のある盛岡市から沿岸部までに要する移動時間と比べて、約半分ほどで移動できる距離にあり、ヘリコプターで約10分、自動車では1時間弱とのことでした。私が、今回お話を伺ったのは、3.11の震災時に岩手県防災危機管理監として知事を補佐し、緊急対応の実質的な指揮をとられた越野修三氏です。越野氏は、陸上自衛隊第13師団で作戦部長として、阪神大震災の際に神戸市で救援活動にあたられた他、2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震等の災害にも対応された、貴重なご経験をお持ちの方です。今回の大震災も、自衛隊の活動なしには乗り越えられない大災害でしたが、その自衛隊と岩手県との調整役も務められ、円滑な連携の実現に尽力された功労者であります。現在は、岩手県庁に席を置く傍ら、これまでの経験を活かして、著名な軍事アナリストで静岡県立大学の特任教授でもある、危機管理のエキスパートの小川和久氏とともに、静岡県など他県の防災対策に関しても様々な助言をしておられます。越野氏のお話は、まさに実体験に基づいているわけですから、非常に具体的で説得力に溢れたものでした。この場では、全ての中身をご紹介できませんが、特に参考になった点にのみ触れさせて頂きます。

まず、もっとも力説されたのは、自衛隊との連携の重要性です。今回の大震災では、災害史上初めて県庁の中に自衛隊災害派遣部隊の司令部が設置され、それにより自衛隊との連携が極めてスムーズに行われたとのことでした。大規模災害が発生した場合、国内最大の組織力とマンパワーを持つ自衛隊の支援なくして対応は不可能であり、自衛隊との連携をいかに円滑に実施するかが、初動対応を左右するとのお話でした。そういう意味からも、2008年に行った自衛隊と岩手県との合同防災訓練は極めて有効であったそうです。遠野市の防災拠点を舞台に、自衛隊の東北方面隊から人員900名以上、車両253台、航空機9機が参加した大規模な訓練だったそうで、越野氏によれば、3・11の際には、この訓練をほぼそのまま実行すれば良かったとのことでした。ただ、岩手県と遠野市の間で、防災拠点の運営システムが十分に確立されておらず、地震発生当初は大変な苦労をされたそうです。やはり、災害発生時には県主導でスムーズに防災拠点運営ができるように、市町村との徹底した事前協議や取り決めが欠かせないとも言われました。さらに、広域防災拠点は、物資受け入れ拠点だけでなく、その地域での調整機能の拠点ともなるため、分散させて何か所も作り過ぎると、人の配置が非常に困難になりコントロールできなくなるため、北海道に次ぐ面積を有する岩手県でさえも、いわゆる広域防災拠点は2か所しか位置づけない方針であると仰いました。中部圏全体で22か所、岩手県の3分の1の面積である本県内に限っても6か所も配置するという現在の中部圏の整備案に関しては、その実効性に大変疑問を示されたことも、付け加えておきます。

その後に訪問した内閣府では、南海トラフ地震対策に関する、国としての今後のスケジュールや内閣府の基本方針について確認をしてきましたので、要点のみ申し上げます。まず、今後のスケジュールですが、8月29日に発表された第1次被害想定に経済損失想定を加えた第2次被害想定を、遅くとも今年度中には発表予定とのことでした。そして、来年度中には、南海トラフ地震対策大綱や応急対策活動要領を策定し、さらに広域防災拠点の整備エリア確定も含む具体的な活動計画まで策定したいとのことであり、今年度末にまとめる予定の中部地方整備局案については「地元の要望や意見をしっかり集約して、提案して欲しい」とのことでした。

以上の調査を踏まえ、現状の中部圏案を見てみます。

まず、広域防災拠点の整備候補地としては、東三河地域の新城総合公園や東三河ふるさと公園、三河臨海緑地、豊橋公園、東名高速の赤塚PA等をはじめとする県内約30か所が例示されています。しかし、これらの候補地には、全体の面積の割に平坦な土地が少ない公園なども含まれていますし、既に指定されている県の防災拠点との関係の整理も、早急に必要です。また、例えば三河港のように現在候補地に挙がっていない場所でも、有効活用できる可能性もあり、候補地のリストアップはまだまだ十分とは言えません。その理由としては、やはり生きた情報を持っている地元自治体などとの意思疎通が、現在までほとんど行われてこなかったことも一つの要因です。ただ幸いにして、中部地方整備局によれば、現状の整備案、つまり愛知県内に限っても、約30か所の候補地の中から6か所の広域防災拠点を決定するという方針は、あくまでも現時点での案であり、今後の約3カ月で議論し修正することは、十分に可能であるとのことでした。

そこで、1点目の質問を致します。現在計画されている広域防災拠点数に関しては、岩手県の越野防災危機管理監も疑問を示されましたが、いざという時に運営する拠点数として、適切な数なのかという点について、再検討が必要と考えますが、いかがでしょうか?お答えください。

2点目の質問です。広域防災拠点候補地に関する県内自治体の意向や情報を、十分に収集するためには、早急に意見交換の場を作るべきだと考えますが、いかがでしょうか?さらに、県境を越えた連携協議を深めることも大変重要だと考えます。その点では、県庁の縦割り組織を超えて、今年度発足した東三河県庁ともしっかり連携し、東三河地域内のみならず、三遠南信地域も視野に入れ、最適な配置計画を立案し、中部圏案に反映させるべきだと考えます。本県としての今後の取り組みを具体的にお示し下さい。

次が、最後の質問です。先ほども触れましたように、東日本大震災では、自衛隊に極めて重要な役割を果たして頂きました。中部圏でも、いざ南海トラフ大地震が発生すれば、やはり自衛隊員の皆さんに救援活動・救援物資の輸送などをはじめとする、様々な重要な役割を担って頂かなくてはなりません。そうであるならば、豊川駐屯地や守山駐屯地などの自衛隊施設との連携シュミレーションをさらに具体化するとともに、駐屯地周辺にある演習場等の利用可能性についても、予断を挟まず、柔軟に検討すべきだと考えます。このような自衛隊との一層の連携強化について、本県のお考えをお示しください。

以上、「公共施設及びインフラの維持・更新に関する長期財政支出見通しについて」ならびに「広域防災拠点整備のあり方について」伺って参りました。前向きで明快なご答弁を期待して、私の壇上での質問を終わります。ご静聴、誠にありがとうございました。



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