対話集会バナー

浅井どんブログ

■絞り込み
| 活動記録| コラム| お知らせ |
  
投稿日時: 2017-01-16



平成29年が本格的にスタート致しました。皆様におかれましては、お健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げますとともに、旧年中に賜りましたご厚情に心から御礼申し上げます。

さて、昨年12月1日に開会した愛知県議会12月定例議会では、一般会計約207億円、4特別会計約1千万円、4企業会計約2億円などの補正予算関係議案9件をはじめ、空港島に建設予定の愛知県国際展示場条例の制定や愛知県国民健康保険運営協議会条例などの条例関係議案11件、工事請負契約締結などのその他議案18件が可決成立致しました。12月20日の閉会日には、「骨髄ドナーに対する支援の充実について」の意見書や「車両運転中の“ながらスマホ”対策の強化について」の意見書など、7件を採択し国に送付致しました。

今議会では、産業労働委員会で「よろず支援拠点豊橋サテライト」に関する質問を行ったほか、原則として年に一度だけ機会が与えられる本会議場での一般質問にも登壇し、県の取組状況を伺いました。質問のテーマは、「東京2020オリンピック・パラリンピック開催から、リニア開業後を見据えた愛知そして東三河の観光戦略・地域づくり」についてで、県政通信の2,3面に質疑のポイントを要約して掲載させていただきました。また、質問の全文は私のホームページでご覧いただけますので、是非お目通しいただき、ご意見等を賜れれば幸いです。

今回の質問に臨んだ問題意識について、若干触れさせていただきます。総人口の減少が始まった我が国にあって、愛知県は今なお人口増加が続く数少ない都道府県のひとつですが、我々の暮らす東三河地域では既に人口減少が進んでおり、なかなか歯止めをかけられない状況です。私は、東京・名古屋間の人の流れが大きく変化する2027年のリニア開業までの今後10年間こそが、地域の将来を左右する極めて重要な期間であり、山積する諸課題に立ち向かう、まさに正念場であると考えています。東三河の各界各層が界を越えて結集し、これまで以上に戦略的な地域づくりに邁進できるよう、引き続き努力を続けて参る所存です。

本年も変わらぬご指導ご鞭撻をお願い致しますとともに、皆様のご多幸を衷心よりお祈り申し上げ、年頭のご挨拶と致します。


投稿日時: 2016-12-08


H28年12月議会一般質問  再生 ← 一般質問での録画映像を再生します。

通告に従い、順次質問してまいります。

我が国では2020年に東京オリンピック・パラリンピック開催が予定され、また本県が中心となって開催する国際的イベントとしては、つい先日、本県での2020年10月開催が決定した第1回ワールドロボットサミットや同年秋の招致を目指すFIFAフットサルワールドカップ、同じく誘致を目指している2023年の技能五輪国際大会、さらには2026年のアジア競技大会と、3年ごとにビッグプロジェクトの計画が目白押しであります。2027年にはリニア中央新幹線の東京・名古屋間の開業も予定されており、これからの10年間は愛知を世界に発信し、大きな飛躍をするためにも大変重要な期間であります。同様に、私の地元の豊橋・東三河地域にとっても、東京オリンピック・パラリンピックに向けた観光振興やリニア開業後の交通ネットワークの変化への対応、人口減少対策等の地域活性化に取り組む重要な10年間となります。

そこで本日の質問では、東京オリンピック・パラリンピック開催から、リニア開業後を見据えた愛知の観光戦略・地域づくりについて、愛知・東三河にヒトを呼び込むという視点から質問してまいります。今年の2月に策定された「あいち観光戦略2016−2020」にも、こうした視点にたった施策の方向性が盛り込まれており、今回の私の質問は、その具体化を促し、さらに実効性を高めることを願うものであります。

初めに、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う文化プログラムを活かした本県の魅力発信についてであります。

リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック閉幕から、すでに約4か月が過ぎ、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた準備も待ったなしの段階となりました。多くの解決すべき課題が山積し、決して順調な進捗状況とは言えないわけですが、オリンピック開催までには、何としても競技会場や選手村などのハード整備を終えなければならないわけであります。オリンピックは、そういった施設で行われるスポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもあります。オリンピック憲章では、オリンピズムの根本原則に、スポーツと文化の融合を掲げており、組織委員会は、複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならないと規定しています。我が国でも去る10月19日〜22日に、キックオフイベントとして東京と京都で開催された国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」を皮切りに、五輪文化プログラムの全国展開へのスタートが切られたところです。

この文化プログラムへの取り組みで、成功例として注目を浴びているのが、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックです。大会開催4年前の2008年から「カルチュラル・オリンピア―ド」と題した大規模な文化プログラムが、イギリス全土1,000か所以上で開催され、2012年までの4年間で約17万7千件もの多彩な文化イベントに約4,300万人が参加したとのことです。まさにイギリス全体を文化のショールームにしたわけで、こうした取組により、イギリスへの観光客はオリンピック閉会後も増加を続けています。

日本における現時点での取組状況はどうなっているのかと思い、10月中旬に文化庁に伺い調査を行って参りました。昨年5月に閣議決定された文化プログラム推進の基本方針では、「全国の自治体や芸術家との連携の下、地域の文化を体験してもらうための取組を全国各地で実施する。」とされていますが、率直に言ってまだ全国的な広がりを見せていないと感じざるを得ませんでした。文化プログラムのメニューには、「東京2020大会の機運を醸成し、オリンピック・パラリンピックムーブメントを裾野まで広げるために地方公共団体が実施する事業」を対象とする東京2020応援プログラムや「2020年以降のレガシー創出に資する、全国津々浦々で実施されるイベント等」を対象とするbeyond2020プログラムなども既に用意されており、それらの認証に係るスケジュール等も示されています。ただ、残念ながら現時点で、国の方針を意識した取り組みを推進している都道府県は、静岡県や大阪府、大分県などほんのわずかな都府県に留まっているのが、現状のようです。

そんな状況の中、お隣の静岡県では、2012年ロンドン大会における文化プログラムの成果に関する調査団をイギリスに派遣するなど、五輪文化プログラムを活用した地域の文化発信に向けた取組を精力的に進めているとお聞きしましたので、10月下旬に静岡県文化・観光部の文化政策課を訪れ、取組内容や準備状況について伺ってまいりました。静岡県では、昨年10月に文化プログラム県準備委員会を発足し、今年の1月〜3月にはプログラムの活用を想定した「文化資源調査」が実施されました。5月には正式に「文化プログラム県推進委員会」が設置され、さらに国に先行する形でモデルプログラムの公募も行われました。モデルプログラムとして選定された11の事業は、いずれも文化芸術の要素があることを前提に、地域振興や社会福祉につながる多様性のある取組となっています。静岡県の文化政策課の担当者は「県内各地の多様な資源を活用し、一過性ではなく、2020年以降にも活用できる仕組みやネットワーク等を形成し、文化振興につながる取組になればよい。」と話してくれました。

文化イベントと言えば、本県でも10月23日に閉幕した「あいちトリエンナーレ2016」や今月3日に閉幕した第31回国民文化祭・あいち2016、さらに9日から始まる第16回全国障害者芸術・文化祭あいち大会などの素晴らしい文化事業が展開されておりますし、それらは、文化庁において文化プログラムの取組のひとつに位置付けられているようです。しかし、そういったことは、ほとんどの県民に認知されていないのが実情で、東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツと文化を融合させ、大会機運を高めていくという趣旨が十分浸透していないと思います。来年度からの五輪文化プログラムの本格展開を控え、本県としても、例えば次回愛知トリエンナーレや県内各地の文化芸術イベントの開催時期や開催方法等を柔軟に検討し、効果的にオリンピックと連動させ、本県文化の発信を行うことで、地域の魅力を伝え本県への誘客につなげていくことが大いに期待されます。

そこで伺います。^γ慮の五輪文化プログラムへの取組の現状と今後の進め方について、お聞かせ下さい。

次に、東京オリンピック・パラリンピックに向けた愛知県の役割や可能性についてであります。

オリンピック期間中やその前後には成田空港、羽田空港等の混雑が想定される中、ここ愛知県は、国際定期便のほか、海外からのプライベートジェットも受入れが可能な中部国際空港セントレアや県営名古屋空港を擁しており、海外からの選手団やほとんどのオリンピックに大挙して訪れるスポンサーグループ、観戦者や観光客たちに、東京以外の日本の玄関口として大いに利用していただかなくてはなりません。

また、先ほど取り上げました五輪文化プログラムのほか、東京オリンピックに向けて地方が準備に力を入れていますのが、オリンピック選手の事前合宿誘致であります。愛知県でも、現在のところ16市町が、事前合宿誘致の意向を表明しております。本県は、スポーツも盛んな地域であり、スポーツ施設も充実しておりますので、事前合宿を受け入れる条件は十分整っていると言えます。

さらに、オリンピック開催中の東京都内の宿泊施設は、現在の見通しでは不足することが予想されていますが、本県は名古屋市内のみならず、県全体でみても、海外からの宿泊者を受け入れるホテル・旅館などの収容力は充分備えているほか、これまでに多くの国際会議などの開催実績もあります。さらに、オリンピック開催に間に合うように、中部国際空港隣接地に大規模展示場の整備計画も進行中です。

以上申し上げたように、愛知県は、東京オリンピック開催前から期間中にわたり、訪日外国人の東京圏に代わる受け皿として、充分力を発揮すべきと思われますし、2019年のラグビーワールドカップ開催支援や東京オリンピック閉幕後の開催を目指すFIFAフットサルワールドカップなど、今後のスポーツの世界大会開催に向けても外国人の受け入れ態勢の一層の強化が欠かせません。

そこで、伺います。東京オリンピック開催に向け、本県空港の利用促進や受け入れ態勢の整備、事前合宿誘致や宿泊者の対応など、東京圏に代わる受け皿としての愛知県の役割や可能性についてどう捉え、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ下さい。

また、東京オリンピック・パラリンピックを最大限活かし、愛知の観光振興などの取組を円滑に進めていくには、スポーツ振興と観光戦略を一体的に所管する組織体制が必要と考えます。さらに五輪文化プロラムに関しても、文化芸術所管の課だけで抱えるのではなく、スポーツ振興、観光振興の視点も同時に対応できる一本化した体制が不可欠ではないでしょうか。本県のホームページでも、「観光・文化・スポーツ」を一つのカテゴリーとしてまとめ発信しているわけですから、この際、東京オリンピック・パラリンピックに関わる様々な取組を総合的に扱う実務担当部署を設置し、戦略的に準備を進めていくべきではないかと思います。そういった体制づくりが、ひいては、その後のアジア競技大会の開催県としても、スポーツに限らず、観光、文化交流など、様々な分野での事業展開に柔軟な対応を可能とするはずです。

そこで伺います。E豕オリンピック・パラリンピックを本県の観光振興及び地域づくりに最大限活かすためには、部局横断的で実務的な戦略担当部門の設置が必要と考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。

最後に、東京オリンピック・パラリンピックを契機とするインバウンド戦略と2027年予定のリニア開業後を見据えた愛知・東三河の観光戦略・地域づくりについてであります。

現在、リニア開業に向け、名駅のリニア新駅が今月19日に着工の予定となるなど、名城非常口に続いて名古屋駅周辺の整備が始まりましたが、その他の地域でも、それぞれの特性を踏まえてリニアインパクトを生かした取組を進めていくことが重要です。2014年3月に本県が作成した「リニア中央新幹線対応検討調査」を見ますと、5つの基本方針の中に、「リニアを生かした観光・交流の拡大を目指す」「リニア開業に向けて、県内各地域が魅力と活力のある地域づくりを目指す」とあります。また、昨年3月の「リニアを見据えた鉄道ネットワークの充実・強化に関する方策案」では、「東海道新幹線駅の利活用の促進」が方策の一つにあり、「名古屋駅からの40分交通圏に含まれていない西三河南部地域や東三河南部地域においては、リニア開業後も引き続き、東海道新幹線が広域的な移動を支える交通手段になる見込みであることから、東海道新幹線駅へのアクセス向上のための取組を促進する。」とあります。

観光・交流の拡大や魅力と活力のある地域づくりを戦略的に行う取組として注目されているのが「日本版DMO」です。DMOとは「Destination Management(マネージメント)又はMarketing(マーケティング)Organization」の略称で、地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりを行う舵取り役です。観光庁は、2020年迄に世界水準の「日本版DMO」100組織の形成・確立を図るビジョンを掲げています。この日本版DMOは、観光地域づくりの対象エリアによって3区分に分けられており、複数の都道府県に跨る「広域連携DMO」や、複数の地方公共団体に跨る「地域連携DMO」、さらに原則として単独の市町村を対象区域とする「地域DMO」があります。観光庁が昨年11月に創設した「日本版DMO候補法人」の登録制度によれば、現時点で広域連携DMO候補法人は、島根県と鳥取県という隣接する2つの県による(一社)山陰インバウンド機構をはじめ4件で、地域連携DMO候補法人としては全国で52件が、また地域DMO候補法人としては55件登録されている状況です。こういったDMOの取組は、今後国内外から多くの観光客を受け入れる上で、地域自らによる観光マネージメント力の強化策として、欠かすことのできないものであると考えます。このDMOについては、9月議会の一般質問で、主に国内観光に関する取組の観点で取り上げられましたが、私は、DMOを東京オリンピックを契機にした広域連携によるインバウンド拡大の視点で捉え、以下質問を続けて参ります。日本版DMOについては、「あいち観光戦略2016〜2020」においても、取組の推進が明記されていますし、「あいち観光戦略」は、重点プロジェクトとして「広域観光の推進」を掲げ、具体的な施策として「近隣県と連携した広域観光の推進」や「リニア中央新幹線開業を見据えた沿線都府県との連携に関する研究」も挙げており、その方向性は「広域連携DMO」の考え方と一致するものであります。

私が、こういった広域連携の必要性を痛感する要因の一つは、いまだに人口の増加が続く愛知県において、私の地元東三河では、ほぼ10年前から人口減少が始まっていますし、加えて2027年にリニアが開業すれば、東京・名古屋間の人の流れが大きく変わりますので、これまで以上に交流人口の減少が進んでしまうと危惧するからであります。リニア開業10年前の今から、将来を見通した対策を着実に打っていかなければ、あっという間に時が過ぎ、地域として置いてきぼりになってしまわないか、という危機感を持つからです。これまで本県では、2012年から中部・北陸エリア9県の協働によって外国人観光客を誘致する「昇龍道プロジェクト」への取組が進められ、プロジェクト全体としては、中国人観光客の増加をはじめ、着実に成果を挙げつつあるのは皆様ご存知の通りです。しかし、東三河地域をはじめ県内全域への波及効果に関して言えば、残念ながらまだ限定的と言えるのではないでしょうか。もちろん、いうまでも無いことですが、東三河地域の観光振興は、まずは地元関係者自らが、これまで以上に観光資源を磨き上げ、発信していくことが欠かせませんし、推進組織としての東三河地域連携DMOの設立も早急に取り組むべき課題です。同時に、東三河の枠組みだけに捕らわれることなく、リニア開業後も東三河南部地域と同様、東海道新幹線が引き続き広域的移動を支えていくことになる静岡県などの沿線地域と連携した魅力の発信も、従来にも増して重要になると考えます。

そこで、先月上旬、静岡県文化観光部観光政策課にお邪魔し、観光振興への取り組み状況について伺って来ました。まず、DMOへの取組については、県内を5つのエリアに分けて、それぞれの地域の観光振興のための地域連携DMOを今年度から順次設立していく計画だそうです。さらにインバウンドに特化したDMOとして、静岡県全域を対象エリアとする「静岡ツーリズムビューロー」も今年度中にスタートさせるべく、民間からマーケティングなどの専門家を募集し、現在最終選考中とのことです。この全県域DMO設立の狙いは、これまで主流だった団体パッケージツアーから、今後は海外個人旅行いわゆるFITの増加が見込まれる中、広域エリアで捉えた方が効率的に全域の観光資源を提供できますし、何と言っても、オール静岡県としての観光戦略に取り組むための体制づくりであるとのことでした。ちなみに、静岡ツーリズムビューローのような全県域DMOは、長野県や山梨県などを始め、全国ですでに16道府県で進んでいます。本県においても、進捗中である全県域DMO設立への取組をさらに前進させていただきたいと思います。
静岡県での調査内容を、もう少しご紹介致しますと、静岡県の2015年訪日外国人延べ宿泊客数は約174万人で、これは前年比2.2倍以上の伸び率であり、伸び率では全国一の実績となっています。一方、昨年の愛知県への訪日外国人延べ宿泊客数は約235万人で、両県を合計した約409万人は京都府の約458万人と比べても遜色ない数字と言えます。ただ、その数字の中身はと言えば、私の地元豊橋市においても、「外国人旅行客は夜間豊橋市内のホテルに到着し、翌日の朝には次の観光地に向けて出発してしまうため、地元への経済効果はほとんどないのではないか。」との声がよく聞かれますし、実際に観光庁の2014年の統計で本県の平均滞在日数をみても、かなりの割合を占めるビジネス客を含んでも1.44日に留まっています。同様の話は、静岡県の観光政策課でもお聞き致しました。静岡県では昨年秋、県内に宿泊した中国人旅行者を対象に独自調査を実施されたそうで、その調査結果によれば、県内の平均宿泊日数は1.3泊に留まっているとのことです。さらに、その調査結果を見て私が感じたのは、静岡県を訪問先に含む人気ツアーにおいて、静岡県を訪れる前後の行程で本県にも訪れるコースが意外に少ないということです。具体例を挙げますと、日本で4泊するコースで最も件数が多かったのは、静岡・神奈川・東京・東京の順に宿泊するルートですし、同じく5泊コースの場合で最も人気のルートは、静岡・神奈川・京都・奈良・大阪という行程でした。この調査結果から考えられることとして、まず一つは愛知県・静岡県ともに、観光目的地としての宿泊というよりも、単に通過点としての宿泊が想像以上に多く、宿泊者数の割に地元にお金が落ちていないのが実態のようです。二つ目としては、せっかく静岡県を訪れた外国人旅行客を隣接する本県にも誘客するには、まだまだ工夫や努力の余地があるのではないかということです。

そういった現状を改善する為のツールのひとつとして、今以上の活用が期待できると考えられるのが、ここ数年利用者数が増加している「ジャパン・レール・パス」という特別切符です。ご存知の方も多いと思いますが、原則として外国人観光客向けに、JRグループ6社が共同発行している乗り放題の特別乗車券のことで、JRグループ全線のひかりとこだまなどの新幹線のほか、特急列車、急行列車、快速列車、普通列車、JRバス・フェリーなどが乗り放題の対象となります。このパスには、グリーン車用と普通車用があり、さらにそれらが7日間、14日間、21日間用のパスに分かれています。ちなみに価格は、為替レートによって若干の変動はありますが、2016年3月現在で、こだま号やひかり号の普通車などに7日間乗り放題のパスが、日本円で29,110円と大変格安となっています。ただ、このパスの弱点は、新幹線の「のぞみ」や「みずほ」には乗車できないため、長距離移動には不向きな点で、利用者の多くから不満の声も聞かれます。そこを逆手にとって、例えば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中においても、競技会場の近くに宿泊場所を確保しづらい東京都内ではなく、こだまやひかりが停車する愛知県や静岡県内の都市に泊まり、この乗り放題パスで連日東京の競技会場に通うことも充分可能であるということもPRできるのではないでしょうか。また、こだまでも短時間で移動できる愛知県や静岡県内を主な舞台に、ピークを過ぎたといわれる爆買いに代わって、徐々に人気が出てきている日本文化や暮らしに実際に触れられる着地型・体験型中心の新たな観光商品を、東京オリンピック・パラリンピックを契機に集中的に提案すべきであると考えます。

さらに、リニア開業後を視野に入れれば、東海道新幹線ルートと東京から名古屋までのリニアルートとを組み合わせて周遊する新たな広域観光ルートの研究をはじめとして、リニア開業後の鉄道や道路ネットワークを生かした多彩な観光ルートの検討も、今から進めていく必要があると考えます。その検討にあたっては、先程触れた静岡県全域のDMOをはじめ、長野県全域DMO、山梨県全域DMOなどとの県境を越えた広域連携も欠かせないはずです。これからの愛知県そして東三河のインバウンド振興に向けては、本県全域を対象エリアとするDMOや東三河地域全域を対象とするDMOの設立を加速するとともに、本県が音頭を取って、静岡県や長野県などとの広域連携を強化し、いわゆるウィン・ウィンの関係を構築することで更なる誘客に繋げていくことが極めて重要だと言えます。
そこで伺います。じ境を越えた広域連携推進に向け、県全域DMOや広域連携DMO設立への取組をはじめ、リニア開業後も見据えた愛知県の観光戦略・地域づくりにどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ下さい。また、東三河地域の観光振興については、東三河全域のDMO設立支援やジャパンレールパスを活用した誘客などに、今後どう取り組んでいかれるのか、お聞かせ下さい。

以上、東京オリンピック・パラリンピック開催から、リニア開業後を見据え、愛知そして東三河の観光戦略・地域づくりについて伺ってまいりました。県当局の明快で意欲的な御答弁を期待して、壇上での質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。


 


投稿日時: 2016-11-15



9月21日に開会し、10月14日に閉会した愛知県議会9月定例議会では、総額約52億3千万円の一般会計補正予算案をはじめ、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例の制定案など9件の条例関係議案、監査委員や土地利用審査会委員選任等のその他議案22件などを審議、可決致しました。また、閉会日には「次期介護保険制度改正における生活援助サービス及び福祉用具貸与等の給付継続について」や「ロボット産業の振興について」などの意見書8件を採択し、国に送付致しました。

開会直後の9月25日には、ベトナムのダナンで開催されたOCAの総会において、かねてから本県が立候補を表明していた、2026年アジア競技大会の本県での開催が決定致しました。県議会としても、可能な限り予算を削減した大会の実現に向け、県民の皆様のご理解・ご協力を頂きながら、しっかりと議論を進めて参ります。

一般会計補正予算案の主な内容としては、アジア大会開催に向けた事務費や2023年技能五輪国際大会の本県招致に向けての基本構想策定費、子どもの生活実態などを把握するための「愛知子ども調査」及び「ひとり親家庭等実態調査」の費用、名古屋コーチンの種鶏場移転費用、愛知県芸術センターの改修費用などが盛り込まれています。

所属する産業労働委員会では、ライフワークとして取り組んでいる行革のうち、特に県有資産の有効活用について取り上げ、県の考えを伺いました。今回取り上げた具体事例は、2009年10月1日の愛知県産業労働センター(ウインクあいち)オープンに伴い、廃止されることになった産業貿易館本館及び西館の敷地の利活用問題についてです。質問においては、まずPFI方式で運営されているウインクあいちの運営状況の確認を行い、その後、いまだに敷地の利活用策が決まっていない現状に関して、今日までの経緯と今後の見通しについてお聞き致しました。産業労働部の答弁では、処分を含めた利活用に関する主担当部署は総務部財産管理課であるとのことでしたが、役所の縦割りを理由にした当事者意識・スピード感の欠如に対し苦言を呈するとともに、県民の貴重な財産である県有資産利活用策の早期決定を強く求めたところです。

今年も残すところ2か月程となり、年の瀬に向かい徐々に慌ただしくなって参ります。来る12月議会では、年に1度だけチャンスが与えられる本会議での一般質問への登壇を予定しています。東三河地域・県政の発展に資する有意義な質問となるよう努力して参りますので、今後も一層のご指導・ご支援を宜しくお願い申し上げます。


投稿日時: 2016-04-04



昨年4月の県議選からあっという間に一年間が過ぎ、新たな年度が始まりました。今年度も地元の皆様の声をしっかりと伺い、豊橋・東三河のために懸命に働かせていただきますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

さて、去る2月22日に開会した愛知県議会平成28年 2月定例会は、約2兆5,250億円の一般会計予算をはじめとする平成28年度予算案や約670億円増額する平成27年度2月補正予算案のほか、長年の懸案だった県議会議員選挙公報発行、公契約条例などの条例関係議案、さらに平松直巳新教育長の同意人事案件等、計86議案を可決・承認し、3月25日に閉会致しました。閉会日には、「子ども・子育て支援の拡充について」や「社会インフラの老朽化対策の充実について」など、6件の意見書を採択し国関係機関へ送付致しました。

2月議会では、年に一度機会が与えられる本会議での一般質問に登壇し、「県立学校の長寿命化計画策定について」と「行政コスト削減に資する民間資金の新たな活用法・ソーシャルインパクトボンド(SIB)について」の2つのテーマに関して県当局の考えをお聞きしました。中でも、SIBについては、私の提案を受け、県庁内に研究プロジェクトチームを設置し、導入に向けた研究を始めていくという前向きなご答弁を頂きました。今後の進捗を注視しつつ、引き続き建設的提案を行ってまいります。

*(質疑の要旨は県政通信4月号3面に掲載させていただきました。県議会ホームページでは動画もご覧いただけます。)

このほか、所属する建設委員会では「港湾物流ビジョン策定」ならびに「民間活力導入による県営住宅整備」について取り上げ、私なりの提案を交えながら質問させていただきました。特に、港湾ビジョン策定については、私も数年前から本会議や委員会など様々な機会を捉えて、その必要性を指摘してきた課題であり、まさに遅きに失した感は否めませんが、本県の港湾が少しでも京浜港や阪神港に追いつけるよう、さらなるご尽力を求めたところです。

日本一元気な愛知県内にあっても、残念ながら人口減少に歯止めがかからない豊橋・東三河ですが、この状況を何とかして打開すべく更なる努力を続けてまいりますので、一層のご指導・ご支援を心からお願い申し上げます。


投稿日時: 2016-03-08



H28年2月議会一般質問  再生 ← 一般質問での録画映像を再生します。 

通告に従い、順次、質問して参ります。

本県は、今後も医療・介護等の社会保障経費が増加するなど、厳しい財政状況が続きます。こうした中、経験したことのない少子・高齢社会を迎え、様々な行政課題に対応するためには、限られた財源を効率的、重点的に配分することがこれまで以上に求められます。今後の愛知県の発展のためには、道路などのインフラの整備充実や新たな行政課題への対応なども進めながら、従来からの行政需要にも対処していかなければなりませんので、徹底した選択と集中が不可欠です。そのためにも事業の緊急度、優先度を考慮しながら、事業の工夫により、少しでも今後の財政負担を減らしていく手法を駆使していく必要があると考えます。行政課題に対して、事後的に対処する予算措置ではなく、事前に予防的な事業を実施することで、将来のコスト増をできるだけ抑制していくこと、また民間資金を効果的に活用していくなどの手法を、積極的に取り入れていかなければ、人口減少社会の中で大きな税収増が期待できない地方自治体としては、財政的に立ち行かなくなってしまうのではないでしょうか。

例えば、老朽化が進み修繕費用が増大するインフラや公共施設に、効率的に予防保全の補修工事を実施することで将来の維持管理費を抑制する、また認知症予防など事前の予防策を講じることによって社会保障に関する財政負担の軽減を図るなどの方策の徹底が、今後はさらに必要となってくると私は考えております。こうした観点に立ち、ハード施策・ソフト施策の両面から、順次質問してまいります。

まず、ハード施策でありますが、県立学校については、少子化の影響により生徒数が減少する中、学校施設の老朽化や学校の統合・再編などが大きな課題となっています。そこで本日は、校舎をはじめとする県立学校施設の長寿命化計画策定について取り上げます。

本県の県立学校では、平成15年度に策定した「第1次あいち地震対策アクションプラン」以降、2次、3次のアクションプランに基づいて、これまで10数年の間に、教室棟や体育館、管理棟などの耐震改修を進めてきました。この結果、平成27年度末の耐震化率については、県立学校で96.0%の進捗、平成28年度には、すべて完了する予定となっております。県立学校施設の耐震化に取り組む中、新たな課題として、体育館のつり天井などの非構造部材の耐震対策も必要となってまいりました。県では、平成27年度当初予算は約98億円を予算措置し、平成28年度当初予算案では約70億円を計上し、県立学校の耐震化と体育館のつり天井の耐震対策に取り組むこととしています。このように県立学校の耐震化の完了に目途がたってきたところ、今後はいよいよ県立学校の老朽化対策に本格的に取り組んでいく必要があるわけです。ちなみに、県立学校の建築後の経過年数は、昭和40年、50年代の生徒急増期に建設された施設が多く、築後30年を経過した建物は、再調達価額ベースで全体の約7割を超えている状況であります。さらに、10年後には、約9割まで増加するとのことであります。

 私は、今から3年余り前の平成24年12月県議会の一般質問において、厳しい財政状況の中、施設等の維持管理について予防保全策を講じれば財政負担の縮減効果が見込まれるので、その財政的裏付けを得る為にも、老朽化する県有施設及びインフラの維持・更新に関する長期的な財政支出見通しを早期に策定することが必要であると考え、そのための全庁的プロジェクトチームの発足を求めました。こうした提案に対し、知事は迅速に対応していただき、4か月後の平成25年4月には、全部局を構成員とする県有施設利活用最適化研究会を立ち上げ、県有施設の老朽化対策の検討に着手されました。その後、2年の検討調査を経て平成27年3月に、老朽化対策を軸とした中長期的な県有施設の利活用最適化に係る基本的方向性を取りまとめ、「愛知県公共施設等総合管理計画」が策定されました。この計画の目標は、可能な限り財政支出を抑えつつ「施設の老朽化に起因する重大事故ゼロ」を継続することであり、それに向け、庁舎、学校、道路、河川といった16の施設類型ごとに、個々の施設の長寿命化対策を盛り込んだ「個別施設計画」を策定し、具体的な対策を実施していくこととなっています。このうち、道路、県営住宅、下水道などは「個別施設計画」が既に策定されておりますが、県立学校など未策定のものもあります。さらにこれらの個別施設計画が全て策定された後には、どのように優先順位をつけて全体の予算を配分していくのかという大変むずかしい課題も新たに生まれることも忘れてはなりません。

こうした中、平成28年度当初予算案においては、県立学校老朽化対策事業として1億1千百万余円が計上されました。内容は、平成30年度までを目途に策定する学校の「個別施設計画」のための外部有識者による検討委員会等に関する経費のほか、計画策定を待たずに早急に対策を講じる必要のある校舎等の大規模改造の設計費となっております。さらに先月8日には、昨年取り纏められた基本計画を踏まえて、新城高校と新城東高校の平成31年度以降の統合などを盛り込んだ「県立高等学校教育推進実施計画」が公表されました。計画策定や当面の大規模改造を行うに当たって重要な視点は、校舎等の老朽化の状況を勘案し将来的な生徒数の減少を踏まえ、改築や建物の集約化などの施設の更新手法や施設規模の適正化の検討を念入りに行っていくことであります。ただし、効率化だけを追い求めて、生徒減少に伴い単純に学校をなくせば良いと言うわけにはいきません。平成27年10月29日に県が開催した「行政改革の推進に向けた外部有識者による公開ヒアリング」では、「県立高等学校施設の老朽化対策等」をテーマに議論がされましたが、その中でも、「高度経済成長期を中心に整備された現在の施設や利活用のあり方をそのまま踏襲するのではなく、生徒数の減少など社会環境の変化や教育内容の多様化を踏まえながら、今後の施設配置・利活用計画を検討すべきである。」との意見も出ております。加えて計画策定にあたっては、愛知の教育の両輪である私学や市町村教育委員会から意見を伺うなど、本県教育の全体像を踏まえることも当然必要となるはずですし、さらに言えば、19年連続して全国で最も低い、本県の高等専門学校を含む全日制高校への進学率の問題も、計画策定と決して無関係ではないと考えます。

ここで、改めて県立学校の老朽化の状況を地域別に見てみますと、築後30年を経過した学校施設の割合は、建物規模の大小がありますので棟数ベースではなく面積ベースでお示ししますが、最も割合の高い名古屋地区では89.8パーセントが該当しますし、最も低い西三河地区でも77.7パーセントとなっており、県内全体では約85%の学校施設が既に30年を経過しています。また、平成27年10月に策定された愛知県人口ビジョンを見てみますと、将来の人口推計では、名古屋市近郊や尾張東部地域、西三河地域では、2030〜2040年頃でも2010年の人口を上回る市町村が多く、その一方で三河山間部や知多半島南部の市町村では人口減少が急速に進んでいくことが見込まれています。このように、地域毎に状況が異なるわけですから、学校や地域の実情に応じた計画の策定は、容易なものではないと思います。また、長寿命化対策に費用を投じた場合、30年間程度は施設が存続使用されることになりますし、大規模改造工事の対象34棟も多額の経費が想定されます。いずれも、将来にわたって必要な規模や配置などを十分に検討した上で、補修工事に着手すべきと考えます。

そこで、伺います。来年度からの3か年で、県立学校施設の長寿命化を盛り込んだ個別施設計画を策定するにあたり、どのような視点あるいは理念で進めていかれるのか、お示し下さい。

 また計画の策定に当たっては、本県教育全体への影響も視野に入れ、外部有識者のみならず、市町村教育委員会や私学、さらには地域の方々などのご意見もお聞きしながら検討を進めていく必要があると考えますが、どのような体制で、どういったスケジュールで進めていかれるのか、具体的にお示し下さい。

 続いて、ソフト施策に関する質問に移ります。今回の質問では、ここ数年行政分野において、将来の財政負担軽減を図る手法として期待が高まっているソーシャルインパクトボンド、通称SIBについてお聞きして参ります。

 SIBとは、『社会的なインパクト、成果に対する投資』という意味で、大幅な公費削減と業務見直しを迫られたイギリスで2010年に始まって以来、世界各国に広がりつつある新しい官民連携の社会的投資モデルのことであります。

 我が国では、まだあまりなじみのない取組でありますので、その仕組みを簡単に紹介させていただきます。行政分野において、将来発生が見込まれるか、または増大すると想定される社会的コストを、予防的施策で削減できる可能性のある事業を選定し、核心的な予防措置を実施するNPOなどのサービス提供団体に委託します。事業資金は、いきなり公的資金を投入するのでは無く、その事業に賛同する篤志家や助成財団、またCSR活動を行う企業等を含む民間投資家から調達し、新たな予防的な施策・行政サービスを実施します。その際、事前に事業の実施効果をシミュレーションして、目標とするコスト削減費を含めた社会的成果を設定しておきます。事業実施後、目標を達成した場合、行政は削減されたコスト分の一部から、サービス提供団体の事業実施経費と投資家への成功報酬・リターンを支出する仕組みです。従来かかっていた行政コストの範囲内で、新たな事業実施コストと投資家へのリターンをまかない、さらに行政側のコスト削減も実現できるというもので、行政は民間資金を財源に事業を行えるため、財政リスクを回避しながら新しい事業に試行的に取り組むことができるというメリットがあります。原則的には、目標達成できなければ、行政は一切費用負担しなくても良いわけです。従来の行政による事業遂行においては、結果として十分な成果が出なくても仕組み上予算を支出せざるを得ませんが、このSIBでは成果が出てから行政が費用を支出するというもので、ここが最大の特徴です。尚、民間投資家のモチベーションあるいはメリットとしては、社会的課題の解決に関わることができること、さらにその事業に出資したという広報的なメリットも生まれることに加えて、事業の成果が出れば成功報酬も得られる可能性があるわけで、この点が従来の社会貢献事業との大きな違いです。

 諸外国では、既に様々な取り組みが行われておりますので、具体例のひとつとして、世界で初めてイギリスで2010年9月に始まったピーターバラ市の事例をご紹介致します。このSIBは、ピーターバラ刑務所を出所した元受刑者の再犯率が高く、結果として司法コストなどが高まり財政を圧迫していた状況を改善するために、これまで更生プログラムを受けていなかった短期受刑者3,000人を対象に事業が行われました。成果指標には、退所後1年間の再犯及び有罪判決率を10%以上減らすことを掲げ、そのための職業訓練等の社会復帰プログラムが実施されたわけです。事業予定期間は2010年からの約6年間とし、17の財団や民間投資家から500万ポンドの出資を得て、再犯率を下げる事業をNPOに委託し、事業開始後5年目には中間評価が行われました。その結果、事業期間はまだ1年残っていましたが、すでにプログラム受講者の再犯率は想定通りの減少成果が確認できたため、今年からは司法省とNPOが直接事業を実施していくこととなったそうです。この他にもアメリカやオーストラリア、オランダ、カナダ、ドイツなど、世界10か国ほどでこのSIBが活用されています。主な事業領域としては、若者の就労支援や生活困窮者支援などの事例が多くみられますが、昨年スタートしたポルトガル初のSIBのように、小学生を対象にプログラミング技術の教育を行う事業もあります。

日本でも公益財団法人日本財団と特定非営利活動法人SROIネットワークジャパンがSIBの推進を主導しており、国内初の試みとして、平成27年4月から横須賀市で特別養子縁組推進のパイロット事業が始まりました。そこで先月、横須賀市に伺い調査して参りましたので、横須賀市のパイロット事業について紹介させていただきます。横須賀市では、養育が必要な子どもを対象に特別養子縁組を推進し、平成27年度中に4人の縁組を目指しています。仮に、子ども4人が18歳になるまで横須賀市内の児童養護施設で過ごすとすると、横須賀市は約3,530万円の財政支出が必要となります。ちなみに、この金額は、人件費等の固定費を除いた流動費のみで、国からの助成も除いた金額です。しかし、4人の縁組が成立した場合には、その縁組支援に必要な事業費として、人件費、研修費、カウンセリング費、交通費等で、合計約1,900万円で済みますので、横須賀市としては差し引き約1,630万円を節減できることになります。この中から、投資家へのリターンを支払ったとしても、残りの金額は行政コスト削減分となるわけです。ただ、今年度は、日本財団が事業費を負担するパイロット事業のため、事業が成功しても横須賀市から投資家である日本財団にリターンは支払われません。今後横須賀市では、日本社会事業大学による第3者評価を受けるなど、今回の検証結果を踏まえつつ、次年度以降の取り組みについては、別のテーマでの導入も含め検討していくそうです。

もちろん、わが国初の取組ですので、この事業を実施してみて明らかになった課題もいくつかあります。例えば、受託者である一般社団法人のベアホープからお聞きしたところでは、事業開始までに保健センターや児童相談所などの関係部門との事前調整や意志合せを十分に行うべきであるとの指摘のほか、適切な事業実施期間や事業目標、評価指標の設定なども重要な課題として挙げられたのも事実です。ただ、メリットとしては、民間主導で取り組むため行政の境界を越えて、全国的な規模で養父母を探しやすくなったとのことですし、吉田雄人横須賀市長からは、「以前から特別養子縁組事業に関心があったが、ノウハウも無く取り組めなかったところ、このSIBという新たな手法のお蔭で一歩を踏み出すことができた。」とのお話も伺いました。さらに横須賀市のSIB導入の窓口である政策推進部の責任者からは、SIB の長所として次の3点が示されました。一つは社会的事業に新たに取り組むときに、効果が得られないかもしれないというリスクを負うことなく、新たな事業に着手できること。二つ目は、行政コストを低減することができるとともに、社会的価値の高い事業を実施できる可能性があること。三つ目は、民間事業者の持つ専門的な知識やノウハウ、人材、ネットワークなどが活用できることであります。

今、お示しした横須賀市の他にも、SIBのパイロット事業として、尼崎市ではひきこもりの若者にケースワーカー等がアウトリーチし、既存の就労支援事業へつなぐ取組が行われています。また福岡市や松本市などでは、公文教育研究所と東北大学の川島隆太教授が中心となり開発された学習療法による認知症高齢者の介護度改善及び認知症予防のためのプログラムを実施し、公的コスト削減を明らかにする事業が行われていますが、これらはあくまでもパイロット事業の段階であり、現時点で本格導入している自治体はありません。

そうした中、昨年来私は、日本国内での取組を主導している日本財団へのヒアリングを重ね、情報収集を行って参りました。中でも、11月に日本財団で開催されたソーシャルインパクトボンドセミナーは、行政機関、投資家、NPO等、120名以上が参加する熱気溢れるセミナーで、塩崎厚生労働大臣による冒頭挨拶にはじまり、SIB最新情報から日本における取組みの現状と課題などを詳しく学ぶ機会となりました。印象的だったのは、想像以上に投資家の参加が多く、質疑応答も活発に行われており、関係者の関心の高さを改めて実感致しました。その折に、日本財団社会的投資推進室の工藤七子室長と意見交換を行い、日本でのSIB実施に当たっての課題は何かとお聞きしたところ、「設定した社会課題が解決されたという状態を、いかに評価するのかというのは難しい課題で、評価方法を開発しながらやっているところです。評価の仕組み作りもこれからのチャレンジだと考えています。」とのことでした。このようにSIBには、まだまだ課題はあるわけですが、民間資金を活用するSIBは、中長期的に見ても極めて厳しい財政状況への対応や、官民連携による課題解決の有効な手法として、大きな可能性を持っているのではないかと考えます。

こうしたSIBの取組については、平成27年6月の「骨太の方針2015」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」にも明記されて以降、昨年11月に開催された「第2回 一億総活躍国民会議」における厚生労働大臣提出資料においても、地域づくりの推進にSIBなどの活用が示されるなど、少しずつ国による具体的な動きも出てきており、今後、休眠口座預金の有効活用など、更に踏み込んだ取組が期待されております。

都道府県レベルでもSIB導入への研究が少しずつ始まっており、大阪府では昨年12月に学識経験者や社会福祉関係者などからなる「ソーシャルインパクトボンドを活用した大阪独自の生活困窮者自立支援のための新たな仕組みづくり研究会」が設置されたところであります。先日大阪府に伺い、研究会の事務局を務める福祉部地域福祉推進室の方々からSIBに取り組み始めた経緯や進捗状況、課題等についての調査を行って参りました。SIB導入を全庁的課題として捉え、福祉部だけでなく他部局においても研究を行っており、引き続き導入に向けた取組を続けていくとのことでした。また、神奈川県でも「がん検診率向上による医療費削減」をテーマに研究を続けているとの情報もあります。

本県では、昨年度策定した「しなやか県庁創造プラン」により「民間活力の活用」や「地域との連携・協働の推進」に取り組んでいます。日本初の道路コンセッションや愛知総合工科高校の公設民営への取り組みなどを精力的に進める本県としても、SIBを行革の新たな取組みと位置づけ、導入に向けた庁内研究チームを早急に立ち上げ、是非我が国初の本格導入に繋げて頂きたいと思います。SIBは、全ての政策課題・分野に適した手法ではありませんが、新しい事業を開始する際に、リスクが極めて少ない手法として有効ですし、うまく活用できれば将来増大する社会保障費の抑制にも資する手法だと思いますので、まずは導入可能な分野の検討から始めていただくことが必要だと考えます。私がSIB導入テーマの候補の一つとして提案したいことは、SIB手法を活用して外国人児童生徒への日本語学習指導を一層充実させ、ここ数年、全日制・定時制・通信制を合わせて70パーセント前後で推移している、本県外国人生徒の高校進学率向上に繋げる取組です。現在も教育委員会などによって取り組まれてはいますし、先程答弁もありましたが、新たな手法でさらに強力に推進することは、日本語指導が必要な外国人児童生徒数が6,000名を超え、全国一となっている本県らしい試みではないでしょうか。また、県内市町村とも協働し、それぞれの市町村固有の課題解決に向けたモデル事業にも大いにチャレンジすべきと考えます。

そこで、伺います。現時点での愛知県としてのSIBに対する評価と庁内研究チーム発足も含め、今後の取組についてお示し下さい。

 以上、「県立学校の長寿命化計画策定について」並びに「行政コスト削減に資する民間資金の新たな活用法・ソーシャルインパクトボンドについて」それぞれ伺ってまいりました。県当局の前向きで明快な御答弁を期待して、壇上での質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。

 


« 1 (2) 3 4 5 ... 8 »
XOOPS Cube PROJECT